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「道理でずいぶんお痩せになったな、と思ったんです」
「おお、そうかい? 紅葉ちゃんは相変わらずだけどね。京に居た時のままだ。女とは恐ろしいもんですね。ねえ、歳さん」
「そうか? 綺麗になったと思うぞ」
土方は淡々と言った。
紅葉は耳を疑う。
間違ってもそんなこと言う人じゃないと思っていたのに。
嬉しいけど。
「そいつは失礼。全くその通りですな」
島田は豪快に笑った。
紅葉はさりげなく土方の盃を見る。
減ってない。
酔ってるわけじゃないんだ。
しばらく京の話で盛り上がる。
島田にとっても、京に居た頃の思い出は何物にも代え難いもののようであった。
当然であろう。
たった数年であったが、新撰組が最も輝いていた時代だ。
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