邂逅

20/22

3944人が本棚に入れています
本棚に追加
/449ページ
「毎日五稜郭へ歳さんの姿を探しに行っていたので、大鳥さんが声をかけてくださって・・・・・・・あの・・・・親切な方で、歳さんが戻られた時にも教えていただいて・・・・・」 「だからと言ってのこのこと大鳥などと」  土方の低い声が更に低くなる。  まずい。  怒ってる。 「まあまあ。大鳥さんは人の良い方だから、紅葉ちゃんを放っておけなかったんでしょう」  島田がなだめる。  しかし土方の気はおさまらない。 「人が良い? ふん。ただの軟弱者だろう。ちょっとは航海術に長けているかもしれんが、実際の戦闘となるとまるで無能だ。どれほど無駄な死を強いたと思っている」  土方は盃をぐいっと飲み干した。  どうやら土方は大鳥のことをあまり良く思っていないらしい。 「そりゃあ、兵士は正直大鳥さんの指揮を嫌がりますが」  島田もぽつりと言う。
/449ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3944人が本棚に入れています
本棚に追加