邂逅

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 大鳥は見るからにインテリだ。  上層部のインテリが、下の者を振り回す。  いつの時代もそれはあまり変わらないらしい。  どちらが悪いというわけではない。  彼らにも理想がある。  広い視点で世界を見た時、必然的に小さなものが見えなくなってしまうのだろう。  土方は人間そのものを見ている。  決して視野が狭いというわけではない。  人間の本質を無意識のうちに見て、そして悟っているのであろう。  それが武士だ。  紅葉はそんな土方を愛している。  やましいことなんて何もない。 「私は歳さんの話が聞きたかっただけです」  紅葉はきっぱりと言った。  土方の視線が痛い。  だけど本当のことだ。
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