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それにしても平和な日々が続く。
本当に函館で戦争になどなるのだろうか。
「官軍は雪解けを待っているんだろう」
火鉢で餅を焼きながら、土方が紅葉の疑問に答えてくれた。
そうか。
現代の戦争には季節はあまり関係ないから、気付かなかった。
ちなみに官軍とは薩長を中心とする新政府軍のことである。
すでに元号は明治に変わっていたが、明治政府と呼ばれるのはのちのことなのだ。
「焼けたぞ」
土方の言葉に紅葉は慌てて皿を差し出す。
二人は向かい合って餅を食べる。
「この餅、伸びますね」
餅を口で引っ張りながら、紅葉が言った。
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