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「ああ。紅葉みたいだ」
「え?」
「どこまででもくっついて来る」
「失礼な! 私はそんなにしつこくありません」
紅葉はぷいっと横を向く。
「自分はしつこいと言ったのは紅葉だぞ」
土方は餅を噛み切ると言った。
「・・・・そうでした」
確かにそんなことを言ったような気がする。
「そのくらいでないと俺の女は勤まらん」
土方はそう言うと笑った。
最近土方はよく笑う。
京にいた頃は怖い顔ばかりしていたのが嘘のように。
あっという間に餅を食べ終わり、皿を畳に置くと、土方は立ち上がった。
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