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どこかへ行くのかな。
餅を食べながら紅葉がそう思っていると、土方は膝をつき、突然紅葉を後ろから抱きしめた。
「と、歳さん・・・・」
まだ餅を食べかけの紅葉は、思わず餅と皿を落としそうになってしまう。
「紅葉は冬でも日向の匂いがする。春の匂いだ」
首筋に息がかかってくすぐったい。
もう餅を食べるどころじゃない。
でも幸せ。
紅葉は皿を畳の上に置くと、土方の手に自分の手を絡ませた。
このまま時が止まればいいのに。
紅葉はそう願わずにはいられなかった。
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