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そして紅葉は恐る恐る土方の顔を見上げる。
苦い顔。
やっぱり。
「いえいえ。お役に立てたのなら良かった。私ももう一度お会いしたかったのですが、何せ土方君が会わせくれなくて」
大鳥は土方の顔色など気にした風もなく、笑顔で話す。
結構大物かも、この人。
大鳥は尚も喋り続ける。
「一度三人で食事でも、と言ったのですがね、冗談じゃないと怒られてしまいましたよ」
「当たり前だ。なぜ大事な女を他の男の前に連れていかなくてはならんのだ」
土方は憮然として言った。
大事な女。
密かに喜んでいると、土方が部下に呼ばれる。
どうやら捕物らしい。
「紅葉、もう帰れ」
土方はそう言うと、駆けて行った。
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