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大鳥と二人取り残される。
「あの、本当にお世話になりました。失礼します」
紅葉は素直に帰ろうとした。
それを大鳥が呼び止める。
「紅葉さん、お願いがあるんですが」
大鳥は真顔で言った。
「土方君を説得することは出来ませんか」
「説得?」
紅葉は眉をひそめる。
「少し、歩きましょうか」
大鳥はそう言うと、海の方へ向かって歩きだす。
紅葉は戸惑いながらも、大鳥の後をついてゆく。
雪の降り積った港で、大鳥は歩みを止めた。
「あなたも気付いているでしょうが、この戦いは長くは持たないでしょう。政治力のない軍人だらけの政府など続くはずもありません」
紅葉は肯定も否定もしなかった。
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