雪解け

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「誠のために戦う男を、私が止められるはずもありません。私に出来るのは、最期まで共にあることのみです」  紅葉はきっぱりと言った。  土方と出会う前なら、大鳥の話はもっともだと思っていただろう。  別に間違ったことではない。  大鳥には先見の目がある。  事実、函館府は早くも財政難に陥り、最初は歓迎していた函館市民も、だんだんと気持ちが変わりつつある。  だが紅葉は土方を知ってしまった。  土方がどんな想いでここまで来たか、どんな想いで戦い続けるのか知っている。 「今のお話は聞かなかったことにします」  紅葉は大鳥を真っすぐ見て言った。 「残念です」  大鳥は遠く海を見る。
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