3944人が本棚に入れています
本棚に追加
/449ページ
「誠のために戦う男を、私が止められるはずもありません。私に出来るのは、最期まで共にあることのみです」
紅葉はきっぱりと言った。
土方と出会う前なら、大鳥の話はもっともだと思っていただろう。
別に間違ったことではない。
大鳥には先見の目がある。
事実、函館府は早くも財政難に陥り、最初は歓迎していた函館市民も、だんだんと気持ちが変わりつつある。
だが紅葉は土方を知ってしまった。
土方がどんな想いでここまで来たか、どんな想いで戦い続けるのか知っている。
「今のお話は聞かなかったことにします」
紅葉は大鳥を真っすぐ見て言った。
「残念です」
大鳥は遠く海を見る。
最初のコメントを投稿しよう!