3944人が本棚に入れています
本棚に追加
/449ページ
三月に入ったある日、土方は函館を離れることになった。
「すぐに戻る」
土方は笑って言った。
一週間ほどで土方は戻ってきたが、ひどく疲れた様子だった。
紅葉の膝に頭を乗せると、目を閉じる。
「梅が咲きましたね」
紅葉は土方の肩に羽織りをかけた。
「ああ」
「蝦夷では梅と桜が一緒に咲くのですね」
「ああ。俺も驚いた」
梅の方が若干早いが、それでも本土ではこれほど長く同時期に咲くことはない。
最初のコメントを投稿しよう!