紅梅散舞

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 ふいに、梅の香がしたような気がした。  もう梅はとっくに散ってしまっているはずだ。  気のせいかな。  だか、再び梅の香がする。  今度ははっきりと。  辺りを見回しても、梅なんてどこにも咲いていない。  もしかして。  紅葉は、はっと気付く。  逝ってしまったのだ・・・・・・  紅葉の瞳から、涙がこぼれ落ちる。  誰にもわからなくても、私にはわかる。  土方が逝ってしまったのだ。  最期まで誠を貫き駆けた。  激動の時代を、鮮やかに、紅の花びらを撒き散らし駆け抜けた。  世間では鬼と呼ばれたが、ただひたすら真っすぐで、純粋で、ひどく不器用な男だった。
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