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「紅梅舞う・・・・誠の道を鮮やかに・・・」
紅葉はつぶやく。
膝の上に頭を乗せた土方にせがまれ詠んだ句。
あの夜のことは・・・ううん、全部の夜をまだはっきりと覚えている。
土方の笑顔も、声も、その温もりも、まだ紅葉の身体から消えない。
紅葉はうずくまると、声を殺して泣いた。
その日、紅葉は、佐藤家を出る決意をした。
今までの礼を言うと、深々と頭をさげる。
「行くあてはあるの?」
のぶが心配そうにたずねる。
「はい。京の知り合いの元をたずねるつもりです」
京へ帰ろう。
新撰組と、土方と過ごした、大切な場所へ。
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