3人が本棚に入れています
本棚に追加
腰を下ろし、2人を見合せる。
お母さんという人に双子という人。
それから、少し父親が何か話をしていたが、俺の頭には何も入ってこなかった。
―*―*―
「―――あのさ、ここ俺の部屋なんだけど…」
俺は、双子の兄妹という“のぞみ”に眉間にシワを寄せ話し掛けた。
「同じ部屋使えって言われたから仕方ないじゃん…
知らなかったとはいえ、兄妹をそんな嫌そうな顔で見ないでよ」
布団を敷きながら、呆れた顔で“のぞみ”が近付いてくる。
「やっぱり、うちら似てるのかな?」
俺の顔を覗き込みながら、自分の顔を触っている。
「双子って言われて納得してんの?」
全く動じない“のぞみ”に不信感を抱く。
「納得するしないより、家族が揃った事が嬉しい
ずっと寂しかったから…」
のぞみは、俺から視線を逸らし、苦笑気味に笑う。
「一緒だな…」
気付くと俺は、そんな事を口出してた。
のぞみは、俺に視線を戻し、躊躇いもなく微笑む。
俺達は、些細な話をしながら、いつの間にか眠りについていた。
―――この時、俺は本当に同じ境遇で育ったんだと思った…。
だけど、“のぞみ”の言った“寂しかったから”は俺の想像を遥かに越えていて、俺は、勝手に全て分かった素振りを見せていた。
本当は、何も分かってなんかいなかったのに…。
最初のコメントを投稿しよう!