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瑞「やれやれ…。分かりましたわ。雄哉さん、行きましょうか。」
苦笑しながら雄哉と部屋を出ていく瑞希。
波「場所って言っても体育館とグラウンドの2つしかないでしょ?下見なんて行かなくても大丈夫よ。」
そういって歩いて行きピアノの前に座る。
……ピアノなんて生徒会室にあったんだ…知らなかった。
波音は鍵盤に細く綺麗な手を乗せると引き出した。
…?聞いたことのない曲…。何の曲なんだろう…。
森「お前は拓也の機嫌を直したいだけだろう。…まあいい。下見は省く。」
そう言うとソファに座り、腕と脚を組む。波音のピアノに耳を傾けているようだった。
雪「じゃあ、私は原稿を書いてきます。」
そう言って拓也が先程入った部屋に入った。すると、それと同時に拓也が部屋から飛び出てきた。
バンッ!
拓「波音っ!その曲、また新しく作ったやつ!?」
そう言いながら波音の隣に来る。
波「ええ。今さっき、いいメロディーが浮かんだの。それをアレンジしたのがこの曲。どう、拓也?」
弾きながら器用に拓也と話す波音。
拓「俺、あんまり音楽分かんねぇけど、なんか暖かみがあって優しい感じがする!俺、この曲好き!なんて曲?」
にこにこしながら尋ねる拓也。
波「この曲にはまだ名前がないの。…柚李ちゃん、あなたが名前を付けてくれないかな?」
弾きながら後ろにいる柚李に話し掛ける。
柚「えっ!?な、なんで私…?」
柚李は驚いて聞き返した。
波「この曲はね?柚李ちゃんと森のことを見てて浮かんだ曲なの。だから、柚李ちゃんに名前を付けてほしいんだ。」
柚「私と…森先輩を…?」
ふと森の方を見ると、こちらを見て微笑みながら頷いていた。それはまるで"付けてやれ"とでも言うかのような顔をしていた。
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