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「でも……もしかしたら、助かるかもしれないんだよ?」
「そのために、自分を犠牲にするってのかよ。……ハルカが言ったことじゃないか、2人の力を合わせてなんとかするって」
ソーマは泣きじゃくるハルカの頭に手を添えるかどうか悩んだが、その間にハルカが顔を離したので慌てて手を下ろした。
「じゃあ、どうするの?」
「そうだな……」
ソーマはハルカから離れて、ガラスが割れた近辺に向かってみる。
階下が火事になっているらしく、赤い光と熱が立ち上っては揺らめいている。
外から救出が来るだろうか?
5分というタイムリミットを考えると、答えはノーだった。
とその時、気を失っていたと思われたカノンがゆっくりと頭をあげた。
「第一幕、最終章」
その手には、いつの間にか預言書があった。
「蒼き馬は天へ向かい、すべては収束へ向かう」
カノンはそれだけを告げると、パタンと預言書を閉じる。
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