2/2
前へ
/8ページ
次へ
あれから数年間は惨めにも彼を忘れる事が出来ずに、私の胸には刺が刺さったまま抜けることがない。 そんな、ある日、私は街で当時、彼と仲良しだった人に偶然会った。 そして…彼の口から、とんでもない事を聞かされた。 「!!!」 耳を疑った。 あまりに衝撃的で私は立ちくらみを起こし、その場座り込んでしまった。 彼は死んだのだ…高校を卒業すると同時に抗がん剤の治療の為、母親の実家に引越したが癌が色んな場所に転移していた為、手の施しようが無かったと言う。 彼は言った。 「あいつがさ…死ぬ一ヶ月位、前に会いに行ったんだ」 彼は静かに続けた。 「あいつは、ずっと…あんたの写真を大事そうに持ってた…多分、あんたに言った言葉は全て、あいつなりの精一杯の優しさで本当は好きだから…悲しませたくないから…だから…わざと嫌われたくて酷い事、言ったんだ…」 彼は泣いていた。 私も泣いた。 一目も気にせず私達は大切な人を亡くした者同士、慰めあうように泣き続けた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加