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「はぁ...はぁ...。俺、今きっと人生で一番情けない瞬間だったんだろうな...。しかしそれにしても、どうしてこんなところで...?」
そうだ、焦り過ぎて今まで失念していた。何故この娘がこんな所で死んでしまっていたのか。
よく見れば外傷はほとんど無いが、中が酷い事になっていそうだ。
さっきまで気付かなかったが、足が真横に折れ曲がっていたりと、何か強い衝撃が加わったみたいだった...
黙ったまま熟考するが、やっぱり頭が足りないのか、どうにも答えが出てこない。
「.....うん、このままにしておくのはまずいよな...。とりあえずまずは、念のため病院かな...?」
それでもう一度彼女に振り返る。
不謹慎かもしれないが、血に濡れてるからなのかとても身体のラインが浮き上がって見えて、どうも艶やかというかなんというか...
「...はっ!いかんいかん、何を考えているんだ俺はっ!」
バンバン!と思いっきり自分をきつけ直す。
そして、血まみれのその娘を抱え上げる。
正直、内心では心臓をバクバクさせながら理性を保つのが精一杯だ...
と、不意に血の臭いとは別に、腰辺りまであろうその娘の髪から、ほのかないい香りが漂ってくる。
体格は華奢で、身長は俺より少し低いくらい。俗に言う美少女って類いに属されるタイプだと思う。
「...もし生きてりゃ、俺がたくさん楽しい思い出作ってやったのになぁ...。ま、今頃言っても遅いかな...」
こんな可愛い娘、俺なら放っておかなかった。
もはや叶う事のない戯言が、無意識のうちに口からこぼれ落ちていた。
「――じゃあ、私にその楽しい思い出...作ってはもらえないか?」
「...え?」
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