血濡れの月

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「私のことか?...見られてしまった事だし、まぁ別に構わないだろう。 ただ、こんな所で話すのもなんだ、場所を変えようか。一星...でいいか?お前の家はこの近くなのか?」 美月はポンポンとホコリをはたきながら立ち上がった。 ふと見ると、さっき折れ曲がっていたはずの足は既にその面影はなく、普通の健全な状態に戻っていた。 「あ、あぁ。歩いて20分くらいだけど...」 「じゃあ、一星の家に着いてからゆっくり話そう。案内をよろしく頼む!」 美月はにっこりそう言うと、門の外に向かってゆっくり歩き出した。 なんだか完全にペースを持っていかれてる気がしないでもないが、美月も全て話してくれるみたいだし、ひとまずはなんとかなったのだろう。 「よし、じゃあ俺について来てくれ。身体は大丈夫なのか?」 「あぁ、問題はない。ふっ、一星はとても優しい人なのだな」 クスクスと美月が微笑んだ。 化け物じみてるかと思いきやこんな笑顔まで... 裕二、ギャップに弱いのはどうやら女だけじゃなかったみたいだぞ。 「ばっ...!は、はやくついて来ないと置いてくからなっ!」 何を興奮する事があるのだ、俺!落ち着くんだ、俺! 何気なく俺と彼女は空に目をやった。 空は一面黒いカーテンで覆われていて、その黒が辺りの星たちの輝きを一層際立たせている。 「...お」 俺は、そんな夜空に貼りついたあの美しい満月に見とれてしまっていた。
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