孤独の月

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「――なぁ一星?」 「な、なんだよ...?」 蒸暑さが残る真夏の夜 古びた街頭がまばたきをする道を俺たちは歩いていた。 辺りには俺たちの足音と話し声だけが響いていて、まるでこの世界には自分たちしかいないようにも錯覚させられるほどの静けさだ。 「一星はどうしてさっきから私を振向かないのだ?まるで私を避けるように視線をそらしたり――」 「そ、そりゃそうだよ!!傷はないとはいえ、血まみれの服を着た女の子とこんな夜遅くに外ふらついてちゃ怪しいだろ!!」 「なんだ、そんな事を気にしていたのか。じゃあちょっと待っていろ、この服脱ぐから」 言うと、美月はいきなり血でぼとぼとになった制服を脱ぎ出し始めた。 「がっ!?や、やっぱいいから!!ごめんなさいそのままでいいですからっ!!」 「?一星、顔が赤いぞ?」 なんて会話が学校からずっと続いている。 それも、今の会話なんてまだマシのほうだ。 さっきまでなんて、「好きな食べ物は」とか「兄弟はいるか」とか、ほんと中身のない話ばっかだったし... ...まぁ、そんなくだらない会話一つにもドキドキしながら付き合ってるくだらない男もいるけどな。
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