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「着いたぞ、ここが俺の家だ」
「ほう...」
俺の家は今の時代珍しい平屋建の家で、入って少し奥に行くと縁側や中庭なんかもある、いわゆる日本風の家だ。
見た目は古いボロ屋だけど作りは結構しっかりしているらしい。
少し前に台風がここ一体を直撃したときも、他の家に爪痕が残る中ここだけは何事もなかったかのように平然と残っていたぐらいである。
「一星の家は...」
「あぁ、ボロいけどまぁ住むのに不便してねーし、崩れたりもしないから安心しろよな」
「いや、そうじゃない...」
「?」
俺が首を傾げてると、美月は俺の家に目を向けてうっとりしていた。
「なんというか、見ているだけで落ち着く家だな...。私も、本当はこんな家に住むのが夢だったんだ...」
「は、はぁ...?こんなボロ屋を褒めるなんて変わってるなぁ...」
どうやら美月は俺の家を初見で気に入ってしまったらしい。
俺にはいまいちその心がわからないが、それはいつも住んでいるからその魅力がわからないだけかもしれない。
「まぁこんなとこで話してないで、さっさと入れよ。風邪でもひかれたら顔が立たねーしな」
「またまたぁ、本当は優しいくせにそうやって一星は――」
「い、いいから入れよ!ほら鍵閉めちまうぞっ!」
「はいはい、ふふっ」
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