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ったく...本当はこいつってば性格悪いのか?
そんなくだらない事ばかり考えながら、自分がさっきから美月の事ばかり考えている事に気付く。
俺が唯一惚れてしまった女の子。
自分の気になる女の子。
そんな娘が今、俺の家の中に。
家の中、に――?
「...って、あ゙!!」
「?どうした一星、急に見られてはいけないものでも思い出したような悲鳴をあげて?」
「す、すまん美月!玄関で少しだけ待っててくれ!」
「?別にかまわないが...」
「まだ入るんじゃねーぞぉお!!」
言うなり俺は靴を脱ぎ散らかして、猛スピードで長い廊下を駆けた。
つい失念していた、何故家に入る時に鍵がかかっていなかった事を不審に思わなかったのか――
あいつを、裕二をこの家で待たせたままだったじゃないか!
もし裕二が美月に会ったらどうなるか...
「てめぇ、すぐ帰るとか言っておきながら女の子と遊んでやがったのか!」ってなるかもしれないし、
「ふーん、一星ってば俺をほったらかして彼女とイチャイチャしてたわけ、か...。信用してたんだけどなー」ってなるかもしれない。さらにもしかすると
「へぇ、その娘可愛いじゃん。よかったら俺と付き合わない?」
「はい、喜んで♪」
なんて事にもぉぉぉお!
「っ、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!」
ありとあらゆる悪い可能性を断つべく、俺は全力で走り続けていた。
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