5人が本棚に入れています
本棚に追加
「一星ー!もうあがっていいのかー?」
と、玄関の方から不機嫌そうな美月の声が聞こえてきた。
そういえば、美月を玄関で待たせたままだった。
「あ、あぁわりぃ!もう用は済んだからあがってくれてもいいぞー!」
玄関まで突抜けた廊下に、俺の声が反響していく。
すると、おじゃまします、なんて丁寧な言葉と共に美月が家にあがってきた。
「まさか俺の家に女の子を入れる日が来るとは...、人生まだまだ何があるかわかったもんじゃねぇよな」
この世界の奇跡に一人感嘆しながら、とりあえず自分にできる最善のおもてなしをすることに決めた。
少しすると、やっと廊下を抜けた美月がリビングに入ってきた。
「ほう、なかなか片付いた生活感のあるリビングじゃないか。感心感心っ」
「...馬鹿にされてるようなのに何故か腹が立たないこの不思議...。まぁ適当にそこら辺に腰掛けてくれ」
コンロで湯を沸かしながら、さっきまで裕二と宿題に励んでいたテーブルを指差した。
「すまないな、気を遣わせてしまって...。私にも何か手伝える事はないか?」
「いや、せっかくお客さんなんだ、丁重にもてなされてくれ。それが一番の手伝いになるかな?」
「そうか、一星がそう言うならそうしよう」
そう言うと美月は手近にあった椅子に腰掛けた。
さて、ここからどうしたものか...
最初のコメントを投稿しよう!