血濡れの月

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校舎の玄関前、赤い湖のように広がる血の上にあるそれを見て、俺の背中は一瞬にして凍りついてしまった。 「なっ――!?」 始めに感じたのは不快感、その次は吐気、その次は―― 次第に俺はその目の前の光景に飲まれていった。 バックに見慣れない真っ暗な校舎があるからなのか、その異様な光景はより一層不気味さを増して見えた。 「あー..............まじ?」 とりあえず、むせ返るほどの血の臭いの元であるそれに近付いていく。 「えっと...もしもーし...?聞こえますー?」 ...我ながら馬鹿だろ!こんな致死量の血を流している相手に対して、開口一言目が間抜け過ぎる! よく見ればその姿は、同じ学校の女子の制服姿だった。 「?同じ学校の制服じゃねーか...えーと、こーゆーときって救急車を呼べばいいのか...?それとも警察...?くそ、なんで俺が泣きそうになってんだよ...」 死んじまったこいつが一番泣きたい気分だろうに...
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