はじまり

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久しぶりに実家に帰還した私……。 実家に帰還したとは言え日光は観光地で遊び場所なんて何処にもなく宇都宮の方まで出るのも面倒で退屈していた。 夜になり、弟がバイトから帰って来た。 「お!姉貴!おかえり~彼氏と別れたか?」 なんて冗談まじり弟が言った。 「んなわけあるか!彼は仕事で来られないの」 そんな、くだらない会話を楽しんだ後、弟が、いきなり。 「姉貴、頼みがあんだけど」 「なに?」 弟は何やら言いにくい様子で私を両親のいるリビングから連れ出すと。 「親父達に聞かれると、まずいからさ」 …う~ん…嫌な予感が…。「さっき彼女から電話きてさ地元で有名な自殺の名所があるんだって」 地元とは言っても私達、家族は数年前に埼玉から父の仕事の都合で引っ越して来た訳で余り地元話には詳しく無かった。 弟の言いたい事は手に取るように分かる。 一緒に来て欲しいと言うのだろう。 私は子供の頃から霊感と言う、ものがあり。 存在しないモノが見えたり聞こえたりする事がある。 家族と極僅かな親しい友人以外には話して無かったけど。 だからこそ軽い気持ちで、そういった場所には近づけないのだ。 絶対、怖い思いをするから。 「いや…行かないから」 「頼むよぉ」 「無理だから」 「俺の彼女も霊感あるんだよ!だからヤバイってなったら速攻帰るから!」 根気負け…しました。 私は渋々、承諾すると以前買った数珠ブレスレットの、お守り左手に付け弟と、その彼女と、その場所に向かったのです。 今、思うと…止めとくべきだったのかもしれません。 あんな思いをするなんて。
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