147人が本棚に入れています
本棚に追加
知ったのはだいぶ後だったけど、そいつが木山だった。
で、一年の夏くらいだったかな。
恐ろしい事に気付いてしまった。
2クラス合同でやる体育の授業は、隣のクラスの木山を唯一目にする時間だった。
すごく暑い日で、みんな汗だくで走り幅跳びをしていた。
列に並びながら、今跳んでるのは誰だろうと、ふと、先頭を見た。
木山だった。
いつもの暑苦しい真っ黒な学ランとは真逆の、真っ白い体操着の袖を捲り上げて、
がっしりした腕を大きく振って、
後ろから助走をつけて、
跳んだ。
足にかかった砂を鬱陶しそうに払いながら、こっちに歩いてくる。
何故か目が離せなくて、ずっと見てたからか、
意思の強そうな木山の目が、俺を見た。
心臓が高鳴って、
俺は気付いてしまった。
.
最初のコメントを投稿しよう!