~prologue~

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 両親の葬儀は粛々と行われた。祖父母達とも久々に顔を合わせた。  学園の制服が黒のブレザーだった事をこの時ほど嫌悪した事は無かった。  気が付けば、葬儀は終わっていた。何も頭に入ってこなかった。どうやら、葬儀を行っても両親の死を受け入れられないようだ。 「……あっ君」 「安江、叔母さん……」  父さんの妹であり、今は篠原に姓を変えている安江叔母さんが隣に立っていた。その傍らには夫である雅彦さんと、四姉妹の姿もある。僕ほどではないにしろ、一様に悲痛な表情を浮かべている。 「まだ、受け入れないみたいです。というよりも、信じろっていう事が土台無理な話ですよね。病院で見た顔だって寝ているみたいだったし、普通に起きてきておはようって言ってくれるんじゃないかって……」 「…………」 「……あーちゃん」  未由希が彰人の名前を呼んだ。目には涙を浮かべている。
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