第一章

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しかし、不良になった所で、孤独な事に変わりはない。心を許せそうな友人など出来ず、信頼出来る教師なんてのも現れなかった。 現実なんて、ドラマや漫画のように上手くいったりなんかしない。彼が今まで生きてきた中で学んだ事の一つだ。 そんな人生も、もう終わりかぁ……などと、少し感慨深くなっている彼だが、やはり、こんな死に方は納得いかないのだろう。なんとか力を振り絞り、立ち上がってみる。 すると、彼の前方、すぐ近くに新たな自動販売機があるではないか。 【あ…あった!自販機あった!!で…でも、なんでだ…?】 彼が疑問に思うのも無理はない。さっきまで、彼の視界には自動販売機など全く写っていなかったのだから。 しかし、そんな些細な問題は今の彼にとってはどうでもいい。 彼は自動販売機に飛びつくかのように、走り寄ると、まず料金設定を確認する。 “120円” 【よしっ!!】 心の中でガッツポーズをした彼は、急いでポケットに手を突っ込みお金を取り出す。 やっと、飲み物にありつけると、安堵する彼。 しかし、次の瞬間彼の耳にある音が飛び込んできた。 ………チャリン
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