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「ハァ…ハァ……や……やっと、とまったぁ…!」
やっと、追い付いた事に、心の中で歓喜する彼だったが、追い付いた所で、彼に自販機を再び探す力はもう残ってははない。
その事に、本人も気が付いたのか、喜びの表情は一瞬にして苦悶の表情へと移り変わる。
【やべぇよ……洒落に何ねぇ…今から、自販機探すなんて絶対む………ん?いや…待てよ……】
硬貨は壁にぶつかって、動きを止めた。壁があるということは、つまり……
龍冶は目線を少し上げる。
すると、そこには、巨大な建物があった。
外観は博物館のようで、作りは西洋風に見える。少し、古びていて、まるで、中世のヨーロッパからタイムスリップしてきたようであった。
【こんな、建物あったっけか?】
そんな、疑問を抱く龍冶はもう一つこの建物を見て感じていた。
それは、この建物の“異質さ”だ。
場違いなのだ。例えるなら、そう…アメリカ開拓時代の荒野に、超巨大な教会がそびえ立っているような……
とにかく、異質だった。まるで、ここだけ、空間から切り離されているような感じ。
そんな、どこか荘厳な雰囲気を醸し出すその建物は、龍冶の前にそびえ立つと同時に、彼の目を釘付けにした。
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