第一章

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「ハァ…ハァ……や……やっと、とまったぁ…!」 やっと、追い付いた事に、心の中で歓喜する彼だったが、追い付いた所で、彼に自販機を再び探す力はもう残ってははない。 その事に、本人も気が付いたのか、喜びの表情は一瞬にして苦悶の表情へと移り変わる。 【やべぇよ……洒落に何ねぇ…今から、自販機探すなんて絶対む………ん?いや…待てよ……】 硬貨は壁にぶつかって、動きを止めた。壁があるということは、つまり…… 龍冶は目線を少し上げる。 すると、そこには、巨大な建物があった。 外観は博物館のようで、作りは西洋風に見える。少し、古びていて、まるで、中世のヨーロッパからタイムスリップしてきたようであった。 【こんな、建物あったっけか?】 そんな、疑問を抱く龍冶はもう一つこの建物を見て感じていた。 それは、この建物の“異質さ”だ。 場違いなのだ。例えるなら、そう…アメリカ開拓時代の荒野に、超巨大な教会がそびえ立っているような…… とにかく、異質だった。まるで、ここだけ、空間から切り離されているような感じ。 そんな、どこか荘厳な雰囲気を醸し出すその建物は、龍冶の前にそびえ立つと同時に、彼の目を釘付けにした。
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