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【……………はっ!つい、ボーっとしちまった。なんか、不気味だけど、とりあえず、水だけでもなんでもいいから、貰えるか交渉してみるか】
龍冶は、その建物の入り口付近へと近付いてゆく。
彼の目の前には、木製の扉。
今時、木製って……と思い、入るのを余計にためらった彼だったが、背に腹は変えられない。覚悟を決めて、木製の扉を押す。
すると、少し建て付けの悪そうな音を鳴らしながら、扉がゆっくりと開いてゆく。
とりあえず、中には入れそうだ。中に人が居るかどうかは微妙だが。
扉が完全に開け放たれ、彼の目に内部の情景が飛び込んできた。
「す…すげぇ……」
彼は思わず、声を漏らしてしまう。
中に入った彼を待っていたのは、本。それだけならば、驚く事は無いのだが、その数が異常な程に多い。
広大な一つの部屋を壁一面に敷き詰められた本が覆っている。その数は、到底数える事は出来ず、まるで、無限に本の壁が広がっているようであった。
部屋の広さも異常で、一部屋であるはずなのに、突き当たりの壁(本)が入り口付近からは、全く見えない程だ。
確かに、建物は巨大だったが、それ以上の広さ持っているように見えた。
そして、これだけ広い部屋であるのに、置いてある物は本。それと、おそらく、部屋の突き当たりまでの長さのある長机。この長机も端が見えない。
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