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用も済んだし、こんな、不気味な所は早く出よう……そう考えた龍治は空になったコップを再び長机に戻すと、その場から立ち去ろうとする。
「水、サンキューな。じゃあ、俺はこの変でそろそろ……」
「おっと…まだ、帰すわけにはいきませんよ。“芥川 龍治”さん……」
「!?何で俺の名前知って……!?」
名乗った覚えが無い。もちろん、知り合いでもない。では、なぜ、少女は龍治のフルネームを知っているのだろう?龍治の中の違和感は徐々に広がっていった。
【いや、待て…名前なんて、今のご時世いくらでも調べられる。もしかしたら、どっかで俺の名前を偶然聞いただけかも知れねぇじゃねぇか。俺は何を慌てて……】
「名前なんていくらでも調べられる…って、思ってるんでしょう」
「!?」
まるで、心を読んでいるかのような少女の言葉に、龍治は驚く。
「名前だけじゃ、ありませんよ?あなたの事ならなんでも知ってます……芥川 龍治。16歳。私立新潮高校、在学。現在は母子家庭で、五歳の頃に父親が出て行って、行方不明。現在は不良の道まっしぐら」
「なんで、そこまで知って……てめぇ、一体何者なんだよ!?」
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