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「どうぞどうぞ、ご自由に。帰りたければどうぞ」
そう言うと少女は、扉の前から離れ、手を扉へと向けて、出るように促す。
予想外の返答に、少し面食らった龍治だが、出られるなら何でもいいと、促されるままに、扉の前へと移動する。
そして、彼が扉に手を掛けようとした瞬間、少女が口を開いた。
「ただし、出られれば……ですけどね」
「え?」
瞬間、バチィィッ、という破裂音が鳴ったかと思うと、龍治の体が、宙を舞っていた。
【…………………は?】
飛んでいる当の本人が、この状況を一番理解できていなかった。
彼が扉に触れた瞬間、彼の体に電撃が走ったような感覚に襲われ、気が付けば宙を舞っていたのだ。
【俺…吹き飛ばされたのか……?】
そう彼が気付いたのと同時くらいに、彼の体が思いっきり、床に叩きつけられた。
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