56人が本棚に入れています
本棚に追加
初夏。
うだるような暑さの中、太陽を背に、一人の少年が汗を垂らしながら歩いていた。
芥川 龍治(アクタガワ リュウジ)、16歳。地元の高校に入りたてで、まだ日も浅い。
彼の名前を聞いた瞬間、あの有名な作家を思い浮かべた人は少なくないだろう。
同時に、名前が似ているんだから、彼もさぞかし賢く、文学的な人間なのだろうと考える人もいるかもしれない。
しかし、彼はお世辞にも文学的な人間…とは言い難い風貌をしていた。
髪は茶色に染められており、ワックスを大量に使って逆立てられている。耳にはピアス。また、左右の指には鈍く光る指輪が2~3個はめられていた。
典型的な不良のような風貌をした彼は、中身もまた、典型的な不良のようであった。
最初のコメントを投稿しよう!