第一章

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125円……ペットボトルは買えないが、まぁ、一時的に喉を潤す為なら缶でも十分であろう。 龍治は早速投入口に120円を入れると、炭酸飲料の缶のボタンを押す。 カコンッ、と気持ちの良い音を鳴らし、缶ジュースが出てくる事を期待した彼だったが、何故か反応が無い。 間違いかと思いボタンをもう一度押してみるが、やはり無反応である。 いや、そもそも、お金を入れれば光るはずの赤いランプがついていないのだ。 一体なぜ!?彼は自動販売機の全体を見回す。 すると、彼の目にこんな文字が飛び込んできた。 “全品130円” 「オイルショックのバカやろおぉぉぉぉぉぉぉ!!」 学力の知れてしまうような叫び声を上げた彼は、その場に頭を抱えて崩れ落ちてしまう。 端から見れば、凄まじい奇行だが、本人にとっては一大事なのだから、仕方がない。 「なんだよ、全品130円ってっ!!中途半端だろっ!!料金設定があやふやな田舎の自販機かっ!田舎の自販機見たこと無いけどねっ!」
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