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青い空。
白い雲。
さんさんと輝く太陽。
時々吹く風。
悪魔は外出していた。黒い翼を広げ、宙を舞っていた。
「そこの黒い翼、ちょっといいか」
地上からの声。薄汚いゴブリンのモノだ。奴の手にはどす黒く煌く物体を持っていた。
悪魔は地上に降り、翼を閉じた。
「アンタ、確かどんなモノでもあらゆる場所に運ぶのが売りの宅急便だよな」
ゴブリンは言った。そして禍々しい黒い物体を悪魔に突きつける。
「こいつをあるところまで運んで欲しい」
ゴブリンから物体を受け取った悪魔はじっとそれを眺めた。悪魔の手のひら程度の大きさ。色は黒。所々にひびが入っていて、隙間から何か呪いのような類のものが、今にも襲ってきそうな雰囲気を醸し出している。
「かまいませんよ。ただし」
「ただし?」
「うちは少々値段が張りますよ」
悪魔は一度息を大きく吸って、吐いた。
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