序章

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「50万イビルでどうでしょう?」 「ちょっと、いくらなんでもそれは足元の見過ぎだよ。確かにこいつは少々取り扱いが難しいし、危険なモノだというのは承知だ。だが、50万イビルだなんて、高すぎる。それだけあれば小さな国1つ、買うことが出来るではないか」  ゴブリンは激昂した。悪魔の着ている漆黒のジャケットの襟元を乱暴に掴む。 「お客さん、これは魔王石ですね? 世界の法では、これを所持するだけでも禁忌に値するのをご存知ですか? 人間だろうとも、エルフだろうとも、ゴブリンだって関係ない。これを効率よく使うことが出来れば、世界を崩壊させることも容易い。これを運ぶということは、私に禁忌を破れと、意味するのが理解できますか? それをたった50万で運んでもらえるなんて、格別なサービスだとは思いませんか? 本来ならば10倍は取ってもおかしくは無いくらいです」  悪魔はさらに続ける。 「恐らく、配達先は魔王のいる城ですね? お客様は魔王直属のゴブリンである可能性が高い。違いますか」  ゴブリンは頷いた。 「まあ、いいです。魔王にはいつもお世話になっているわけですから、特別に100万で配達いたしますよ。いかが致しますか、お客様?」 「値段が上がっているじゃないか。どういうことだ?」
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