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「大丈夫ですか?というか、あそこまで激しく地面にぶつかってよく顔面無事でしたね。僕なら肌色残ってませんよ」
「俺もあれは逝ったと思った」
直ぐ様駆け付けたエスペランドに手を貸してもらい起き上がる。
「すまんすまん。力が入った」
「テメェ…」
「そう怒るな。火だるまにならなかっただけマシだろう」
「よし火の中に飛び込め、俺が蹴り飛ばしてやっから」
「それよりも、ここまで来ればひ…リーシェ様の居られる場所まで直ぐだ。急ぐぞ」
そう言って少女を抱え直し走りだすスレイ。
「あ、待ってください!」
エスペランドもその後に続く。
「?---アリートさん?どうかしました?」
「………」
しかし俺はその場から動かず、ある方向を見つめていた。
「あの、アリート---」
「先行ってろ。俺はちょっとここで顔面冷やしとくわ」
おいおい、何だよあれ。
あんなのがよくあそこまで気配を消せるもんだな。
「え?……早く来てくださいね」
何処か腑に落ちない言った顔だが、エスペランドは深く聴かずスレイの後を追っていった。
「…ああ。無事に事が済めばな…」
走り去るその背に、俺は聞こえないよう呟く。
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