それは焔の中で

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「!?チィッ…!」 俺はその場から受け身もとる事も考えず、とにかく遠くへ横っ飛びする。 ドゴォッ!!! その数瞬後には俺が立っていた雪原が大きく凹んだ。 (……いつの間にか足元が影になってんのに気付かなかったら死んでたな) 凹んだ雪原の中心には、人語を解す巨大なモンスターカキンバが、前脚を地面に突き立てたまま直立していた。 (……あの巨体でどんだけチートな動きしやがるんだ。---て、やべっ。逃がした) フードを被った女は既にそこにいない。どうやら王女確保に向かったようだ。 「………」 「不思議な人間だな。俺を捉える事ができるとはな」 カキンバは直立から身を倒し、元の四足歩行に戻った。 「だから、殺気がだだ洩れだってぇ。つーより、お前のご主人様大丈夫?」 「アレは俺より強いからな。マギレア・スペルには適わんが、今の状態ならば問題なかろう」 「バカかおめぇは」 「何?」 若干毛を逆立てるカキンバ。 「あいつぁ王族だぜ?」 「そんなもの---」 「---みりゃ解るってか?確かに奴は公共の場での行事もやってたからな。写真もあるし有名だろうよ」 「………」 カキンバの眼が険しく俺を睨み付ける。 「クックックックッ!……あのなぁ、普通お姫様にはそれを護る騎士がいるのが通例だぜ?」
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