104人が本棚に入れています
本棚に追加
「……なぜだ?」
「これからのこともありますし。お互い、名前くらい知っておいた方がよろしいかと思いまして」
なぜこのタイミングで名前なんか聞くんだ?
(まぁ、確かにいろいろ不便だしな。名前くらいなら教えても構わんか?)
「アリート・クロウィルラだ。旅人をしている」
「アリートさんですかぁ。よろしくお願いします。私は……」
「シャーリー・ヴァレンチノ王女殿下だろ?」
「はい。そうです」
そう言って、王女は頭に被っていたフードを上げた
「……………っ!」
王女の名前ぐらいは前から知っていたが、実際に素顔を見るのは初めてだった
(……あいつに似てやがる)
幼い頃の記憶が呼び起こされそうになる
(他人の空似か…)
すぐさま頭を切り替えて王女に話を続けさせようとする
「自己紹介はこれくらいでいいか?ここも早くしないと見つかるかもしれないしな」
「あ、はい。あの…アリート・クロウィルラさんで間違いないんですよね?」
「あ?そうだけど?」
なんで名前を聞き返してくるんだ?クロウィルラの部分が聞き辛かったのか?
最初のコメントを投稿しよう!