旅する者

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「たくっ、旅人に依頼料がなくなったら飢え死にだろうが!あのじじい、気を付けねぇとまたくすねるかもしれんな」 またここで依頼を受けるときは気を付けよう、とおもいながら店を出る すると、周りから聞こえてくる人々の笑い声や抑揚のある明るい音楽 「宿は後で探すか。結構報酬もあるしな」 となると、どこをまわったものか? そんな風にうつむいてぶつぶつ言いながら、人混みを避け歩いて路地裏を歩いていると、 ドン! と、誰かにぶつかってしまった 「ああ!!!」 そのひょうしに硬貨袋を手から落とし、中身を盛大に撒き散らしてしまった 「っ!」 ぶつかった人物は尻餅をついていたが、すぐに起き上がって立ち去ろうとする 「おいこら!お前も拾えや!」 その人物を逃がさないように手首を掴む 「きゃ!?」 「この金がねぇとこちとらオマンマ食えねぇんだ、…きゃあ?」 あり?掴んだ感触がやわらかい?こいつ、フード着てるから解らなかったが、 「は、放しなさい!」 ……声も男のものより明らかに高い 「……お嬢さん、手は放すが散らばった硬貨を拾うのを手伝って欲しいんだが?」 「え?あ……」 そこで女は初めて状況に気付いたようだ
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