旅する者

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(しかし、この人数を相手にするのは無理だ) 騎士の刃を躱しながら、頭を働かせる (さらに、時間をかければ増援も来るかもしれない) 「己ぇ!」 (…なら、ここを最短で逃げだすには-) 全力で動いていたからか、騎士は鎧越しでも解るぐらい肩で大きく息をしていた (頭に血が上ってんなー。なぜかは知らんがやりやすいな) 動きも最初と比べてだいぶ遅くなっていた 「…フッ!」 (今!) 騎士が剣を振り上げる一瞬を狙い、懐に潜り込みみぞおちに短剣の柄をめり込ませる 「ガァッ!?」 (…鎧越しで効くか心配だったがうまくいったな) 余程効いたのか、騎士は手から剣を放し膝を着く そして俺はすかさず騎士の後ろに回り、鎧の隙間に短剣を刺しこんだ 「動くな!こいつがどうなってもいいのか!」 「なっ-!」 「卑怯な!」 俺は騎士を立たせながらさらに他の騎士に告げる 「追ってくるなよ?こいつを殺す手間は省きたいからな」 「ぬぅ…!」 剣を構えつつも騎士達の動きが止まる (てか、俺は何をやっているんだ?職業柄か、つい反射的にこいつを拘束しちまったが、これって普通に国家反逆罪じゃね!?) 今さらながら自分の行動のヤバさに気付く
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