その者、魔を司る者なり

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短い付き合いだが、こんな風に泣きじゃくったりするのが嫌いな奴だという事くらいは解る。 (ちょっとじゃないくらいやり過ぎたな……) 反省しながら、どう謝ったものかと頭を捻るがすぐに答えに行き着く。 (母ちゃんも、『女に謝る時は、四の五いわずに頭下げろ』って言ってたしな) 俺はスレイに深々と頭を下げた。 「あー……、その……。………言い過ぎて悪かった」 「え、いや…」 どうやら、突然謝られて動揺しているらしい。その慌てっぷりが、目に浮かぶようだ。 「………私も、悪かった。さすがに度が過ぎたと思う」 「そ、それなら私も悪いです!元はと言えば、私がちゃんと話せなかったのが悪かったんです!ですから……、私もごめんなさい………」 王女にまで謝られて、1・5倍くらい部屋の重力が増加する。 「「「……………」」」 互いに頭を下げあってピクリともしない気持ち悪い状況が続く。 そんな沈黙を破ったのは、落ち着きを取り戻したヒルダさんだった。 「はい!お互い様の喧嘩両成敗よぉ。ちゃんと謝れて偉いわぁ!」
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