その者、魔を司る者なり

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ガバッ、と俺達三人を両腕目一杯広げて抱きしめるヒルダさん。 (うぉ!?こ、るぇ、は、!??!) そして俺はそのふくよかな谷間に、頭をうずめるように抱れていた。 「………………………niceoppai(ボソッ)」 「エスペランドもおいでぇ?」 「………はい」 あ、クソ。エスペランドの入った所為でniceoppaiから遠ざかっちまった。 「よーしぃよーしぃ」 ヒルダさんは今度は俺達の頭を撫で始めた。……………やべぇ何この包容力、泣きそう。 かと言って抵抗する事もできず、俺達はしばらくされるがままになる。 (よくもまあ他人を気遣う余裕があるな~、この女は。ヘンリーが惚れ込むのも違いねぇや) スレイや王女の顔に、うっすら涙が滲んでいた。エスペランドに至っては声を押し殺し泣いている。 (母は強しってか?……いやはや、この俺ですら危うくセンチメンタルになる所だったぜ) 茜色輝く光を背に、俺達を静かにあやすこの女は今どんな風に視えているだろうか? 少なくても俺には、とてつもなくイイ女に視えると思うがね………。
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