その者、魔を司る者なり

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俺は既にゴスロリ衣装から着替え、元の服に戻っていた。持っていても使わないので返したが、王女達は残念そうな顔をしていた。死にたい。 「もう一時間くれーになるか?村長の家って遠いのか?」 「いえ、もうそろそろ帰って来てもいいはずなんですけど…」 説明しとこう。イグネシア王国の自治体は、主に政を行う市町村長と、自然界の侵食の抑制や壁の外の自然環境を管理する森人、その都市の自警団の三勢力から成り立っている。 それぞれ役割があり互いに協力関係にある。 ヒルダは村長と自警団の責任者に村人を避難させる手筈を整えさせるように報告しに行ったのだが、エスペランドが言うには帰りが少し遅いらしい。 「いろいろ混乱するだろうからな、ちょっとくらい遅れんじゃねぇか?」 「………そうでしょうか?」 エスペランドは不安げな表情をしながら、村の方を眺めていた。 ヘンリー邸は村から少し離れた丘に建っているため、村を一望する事ができる。 しかし日が落ちて暗くなった今では、人家に灯る光が見え隠れするだけである。 「エスペランド、母君は---」 心配したスレイが話し掛けようとした時だった。 ---------ゴオッ!!! 村の明かりが、昼間の太陽のように強さを増した。
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