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一瞬、何が起きた理解出来なかった。
「……………」
全員呆然のその光景に魅入っていた。
夜空を赤く染める光が炎だという事に気付くのに、しばらく時間を要した。
「---!!母さん!!!」
先にエスペランドが正気に戻り、村へ向かって走りだす。
「ッ!俺も行く!」
「わ、私達も--」
「いや、あんたらはここで待ってろ」
着いてこようとした王女達を制し、俺は早口に言う。
「もしかすっとやべぇ事になってるかもしれねぇからな。荷物纏めて待ってろ」
「でもッ!」
「スレイ。頼んだ」
「………なるべく速く戻ってこい」
王女を無視して俺は今後の行動を定め、エスペランドを追う。
「くそっ!何が起こってやがる………!」
「ハア………ハア………ハッ!」
自分の視ている景色が信じられなかった。
「母さん……!どこに…!」
村は炎の中にあった。逃げ惑う村人達が悲鳴を上げて燃えているのを視た。
『アアァアアアァァアァア!!!!』
『アツイ!アツイアツイアツイ!アツイィイィィイイ!』
「!!」
それはまさにこの世の地獄と言っても差し支えのない凄惨な情景だった。
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