それは焔の中で

6/41
前へ
/128ページ
次へ
「ッ!」 「うぁ!」 火の勢いが強い!このままじゃ、あの少女はあっという間にウェルダンになっちまうな。 「イヤぁあああああ!!助け、ゲホッ!誰かァァァ!!」 「くそっ!」 少女の叫びが俺達を焦らせる。 どうする?迂回するルートはない。一か八かで突っ込む?バカか、行き着く前に黒焦げだ。エスペランドも魔法は使えない。そもそもあの瓦礫をどうやってどかす? 考えれば考える程、焦りが思考を侵食していく。 「あ、ああ!火が!火がぁ!嫌ァァァ!!死にたくない!!来ないでェェェ!!!!」 「う、うぉおおおお!!!」 「エスペランド!?よせ!」 炎へと突撃しようとしたエスペランドを転ばせ動きを封じる。 「離せ!今はそれどころじゃないでしょう!」 「バカ野郎!魔力切れのてめぇが突っ込んでも犬死にだろうが!頭冷やせ!!」 「じゃあどうするんですか!このままじゃ…!」 「解ってる!だが俺達じゃ………どうしようもねぇ」 「だったら構いません。先に戻ってください。僕はあの子を助けます!」 「随分と不毛な争いをしているなお前ら」 俺達の会話を遮る声。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加