それは焔の中で

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ああ、成る程。 そりゃ確かに無理だわ。 「道中救けた人達をどうするか悩んでいたら、ちょうど良い雪原があったんでな。姫様はそこで怪我を負った人々を治療している」 大剣を腰の鞘にしまい、少女をお姫様抱っこするスレイ。…確かに負担は少ないんだろうが、抱えられてる少女の顔は真っ赤だ。 「他に生存者は見当たらないな、よし戻るぞお前ら」 「「………うぃーす」」 俺とエスペランドは、その男前過ぎる女の後を微妙な気分でついていくのだった。 「ふぅ。はい、これで終わりました!」 「ありがとよ。嬢ちゃん。とても楽になったよ」 「どういたしまして!」 「おーい、お嬢ちゃん。次はこっちを頼むよ!」 「は~い!」 アリートさん達を追ってみたら、こんな事になっているなんて思いもしませんでした。 「酷い…。でも、大丈夫です!必ず治してみせます!」 けど、多少は理解できた。このままではみんな死んでしまうという事も。自分には何とかできる力がある事も。 「我が志を捧げし神よ。その癒しの眼差しを、悠久の流れを、永き調べを、我が元に---『サーファリア』---」 あんなに人が燃えやすい物なんだと知った。命はこんなに簡単に、無惨に散る物だと知った。断末魔の叫びとは、こんなに恐い物だと知った。
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