それは焔の中で

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そして何より恐ろしいのは--- (ヒルダさん………) ---自分の見知った人が、死んでしまったという現実。 (アリートさんも…スレイも…エスペランド君も…無事でしょうか…?) 治癒を行いながら、ふと頭に過る不安。 いや、そんなまさか、あの人達が死ぬはずがない--- 「ありがとよぉ!お嬢ちゃん!…お嬢ちゃん?」 「あっ!は、はいッ!どういたしましてッ!!」 「ハハハハッ!あんまり気負っちゃダメだよ?」 もう一度頭を下げて、おじさんは怪我をした人に手を貸しに行った。 ……ダメダメ。今は目の前の事に集中しないと。 「この子は助かりますか!?」 「もう魂が身体から離れかけてます。…これだと傷は治せても死は免れません」 「あぁ…!そんな…!」 「……お子さんの生命力次第ですが、なんとかできるかもしれません」 「本当ですか!?」 「保障はできませんけど…。やってみます…!」 マギレア・スペルを受け継ぐ私でも、絶対とはいえない危険な呪文。 「ラナ・クリルエ・コナ・ハミル・エレ・エレエ・ケルミナ……」
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