それは焔の中で

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魂への干渉。それは本来許されざる神の領域。 「冥界に住まいし死人の王よ。その生を操る力を貸し与える事を請い願わん……」 マギレア・スペル最上級の禁呪。行使すればただでは済まない。 (誰かが死ぬのを見るのは……もう、嫌です) ヒルダさんの顔が浮かぶ。 (だったら!私が死なせない) 城を出る決意をした時よりも、強い思いが心を巡る。 その思いを意志に換え、力を振るう。 「-『ゴッド・オブ・ハンド』」 右腕と右目に異変。 腕は細長く、鋭く長い爪を持ったモノに。 右目はガラスのように透き通り、血のように赤黒く染まる。 その姿はまさに人を越えた異質。 「魂との接触、クリア。次に身体との融合へと移項」 声もシャーリーに低く重みのある音声が無理矢理重なったような声だ。 「…補合後の状態、安定。魂の停滞に成功。契約者よ。後の処置は任せた」 シャーリーの腕と目が戻ると共に、ふっ、と場の空気が緩和する。 「ハァ…ハァ…、……我が志を捧げし神よ。その癒しの眼差しを、悠久の流れを、永き調べを、我が元に---『サーファリア』」 …何とか成功しました。 「…ありがとうございます!…ありがとうございます!」
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