彼(風人)の存在。

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彼(風人)の存在。

(コウノカザト) 高野風人。後にプロ野球の『広島タートル』に高卒ドラフト4位で入団する。 そんな風人の存在を知ったのは、高校3年の時だ。 (ハヤシミホ) 林美穂(私)が広島に上京する前。地元の奈良のとある高校に通う女子高生だった。 「美穂~見た?昨日の甲子園」 同級生で同じ吹奏楽部だった苗夏と由利恵が駆け寄った。 「甲子園?」 「そうだ由利恵、美穂って野球全く知らないんだった」 「あ!そうだった。残念」 「ちょっとそこまで言ったら気になるじゃん」 「知りたい?」二人が言った。 「知りたい!!」美穂が言った。 「じゃあ教えてあげる♪」 2人は私の座ってる席に今朝の新聞をおいた。 「何この記事?」 「奈良県代表の別下高校と岐阜県代表の岐阜商校との試合の記事」 「昨日だったんだ奈良の試合。どっちが勝ったの?」 「5ー2で別下。それも言いたかったんだけど、私達が言いたかったのは……これ!別下の4番キャッチャーの『高野風人』君!」 苗夏、由利恵はいっせいに新聞に映る高野の写真に指差した。
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