彼(風人)の存在。

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甲子園終幕から2ヶ月後の10月。 部活も引退しすぐに帰宅し毎日毎日勉強に耽った。 「ねぇちゃん、入んで」 弟の優だ。 「ホレ。頼まれた雑誌買って来たで」 「さすが!できた弟だなぁ」頭をくしゃくしゃに撫でた。 「やめんかい!おとろしいな!!」 「前にも言ったけど関西弁やめた方がいいって」 「関係ないやん!それじゃ」優は部屋を飛び出した。 私は方言が嫌いだ。方言を使うとその地域だけの女だと思われるからだ。 ファッション雑誌を開け見始めた。 とある1ページに『この夏輝いた球児たち』のテーマで甲子園で輝いた選手達の私服姿が公開されていた。 もちろんそんな事には興味もなくテキトウにページをめくっていた。 途中で手を止めた。 高野風人の記事があった。新聞の写真でしか見ていなかったがカラーで写っていた。 「ホントにモデルみたい」 呟き続きを読み出した。
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